埼玉県北部に位置する、深谷市。豊かな自然と歴史的な背景を持つ深谷市は、古くから農業が盛んで、特に深谷ねぎが全国的に有名です。最近では新10,000円札の肖像にもなった、江戸時代の名将、渋沢栄一の生誕地として知られています。周囲が畑で囲まれた深谷市郊外、グリーンネクストの四角いハウスの中では、The Oliveaのバーニャカウダでもお馴染みのとてもかわいいお野菜が育っています。グリーンネクストの代表をつとめる横川琢也さんのハウスでは現在、ミニサイズのカブ、ニンジン、玉ねぎ、大根などが栽培されています。愛しいミニ野菜の魅力と育てる情熱ミニ野菜は手のひらに収まるサイズで、一口で食べられるのが特徴です。これらのミニ野菜は品種改良で小さくしたものではなく、普通サイズの品種を根の動きを矯正することで小さく育てています。そのため、小さいながらも味が濃縮されており、固さもなく、普通の野菜と変わらない食味を楽しむことができます。The Oliveaでは、バーニャカウダに使用しており、その一口サイズが食事の楽しさを増します。ミニ野菜はそのユニークな特性から、さまざまな料理で活用されており、見た目の可愛らしさと食べやすさが人気の理由となっています。このハウスや、ミニ野菜を育てている畑を支える台は花農家だったお父さんから引き継いだそうです。「きれいなもの、美しいものをみんなに見てもらいたいという気持ちは、花農家だったお父さんの影響かな」と、横川さん。農薬を使わず有機栽培を心掛けているため、面白い形になったりすることも。ミニ野菜の難しさは、小さく育てるため、成長速度により野菜の個性を感じるそうです。横川さんは「野菜にも人間と同じ個性があるから、とにかく試して、試して、やってみる」と語ります。種まきはポットにひとつずつ、丁寧に丁寧に手作業で行います。小さいから早く育つというわけではなく、収穫までは大きな野菜と同じくらいの時間を要します。手間暇かかけて育てるからこそ、収穫のよろこびはひとしおです。バーニャカウダに欠かせないマイクロトマト物語バーニャカウダに欠かせないマイクロトマト。非常に小さいサイズのトマトで、通常のトマトと比べて数倍小さく、チェリートマトよりもさらに小さな品種です。直径が1cmにも満たないこともあり、とてもかわいい実をつけます。味は甘くてジューシーで、サラダやデザート、カクテルの装飾などに利用されることが多いです。マイクロトマトの栽培には日当たりの良い場所で、肥沃で排水の良い土壌を好みます。そこでキュウリで使う水やりのシステムをマイクロトマトに取り入れ、適切な水の管理を行うことで、健康な成長と豊富な収穫ができるそうです。もりもりと育つマイクロトマトは赤色のほかに黄色も。今日もバーニャカウダに彩りを添えます。The Oliveaのバーニャカウダに欠かせないマイクロトマトには、特別な思い出があります。マイクロトマトは「面白いね」と言ってくれるお取引先は多いものの、なかなか販路がなく需要が無いならマイクロトマトは辞めようかと思っていた時期があったそうです。そんな中、渡邉明シェフが畑にきてこの小さなトマトを一目見て、採用を決めたそうです。その瞬間から、マイクロトマトはバーニャカウダに欠かせない存在となりました。この見た目と、小さくてもしっかりトマトの味を感じるジューシーさが、バーニャカウダを一層引き立て、多くのお客様に愛されています。宮古島に届ける手仕事の裏側宮古島へ届けるにあたり、野菜たちのフレッシュさは最も重要です。その日の朝に収穫された新鮮な野菜を、傷がつかないように丁寧に梱包し、その日のうちに配送業者に持ち込み発送の手配をします。ひとつひとつの手作業が、The Oliveaに届く野菜の品質に直結すると横川さんは言います。収穫時には、熟度や品質を丁寧に確認し、最適なタイミングで摘み取ります。その後、手作業で慎重に選別し、洗浄し、傷つきやすい野菜は特に丁寧に扱います。パッキングの際には、適切なサイズの箱を選び、保護材を使用して輸送中のダメージを防ぎます。配送される過程でも細心の注意が払われ、運搬車両の振動や温度変化を考慮して梱包しています。横川さんたちの手しごとと細かな配慮が重なることで、宮古島にかわいい野菜たちがやってきます。豊かな風味と愛情が詰まった野菜たちと持続可能な未来への挑戦ミニ野菜のほかにもきゅうり、にんじん、なす、とうもろこしなど他の野菜も育てている横川さん。作った野菜は必ず毎日食べて、その変化や特徴は自分たちで知っておくこともこだわりのひとつです。有機肥料を使って決して大量生産、大量収穫はしない持続可能な農業スタイルが「野菜本来の味の濃さに」にも表現されるそうです。化学肥料や農薬を極力使わず、自然の力を活かした栽培方法により、野菜本来の豊かな風味と栄養価が引き立ちます。土壌の健康を保つために、堆肥などの技術を取り入れ、微生物や昆虫たちが共生する環境を作り出します。このような農法は、手間暇がかかるため大量生産は難しいですが、その分一つ一つの野菜に愛情とこだわりが詰まっています。特に、旬の時期に収穫された野菜は、風味が濃厚で栄養価も高く、食卓に季節の彩りを添えます。一番おいしい時季に、とれたてを食べてほしい思いから産直販売も行っています。このような取り組みは、地元のコミュニティにも巻き込んで、作り手(生産者)と消費者の間に信頼と連帯感が生まれます。持続可能な農業を通じて育てられた野菜は、ただの食材ではなく、環境と健康、そして人々の絆を深める大切な存在となるのです。今に満足することなく、常に挑戦し続けるグリーンネクスト。そのリーダーである横川さんは、「やってみて、またやってみて、失敗しても良いものができる」と信じています。次なる「ネクスト」はどんな未来なのか、The Oliveaもともに走り続けていきます。