日本最大の卸売市場、豊洲市場。東京都江東区豊洲に位置する豊洲市場は、2018年に築地市場から移転しました。鮮魚、青果、草花などが取り扱われています。最新の設備と衛生管理が施され、国内外の食材が集まる拠点として機能しています。観光客向けの見学コースや飲食店も併設され、市場の活気と日本の食文化を体験できる場所として人気の豊洲市場。もちろん飲食店向けに毎日の生活に欠かせない新鮮な食材を供給する重要な役割を担うほか、パッケージ棟と呼ばれる施設があるのはご存知でしょうか。パッケージ棟では水産物などの加工会社が集まっています。市場内で取引された鮮魚や青果を迅速かつ衛生的に加工、包装し、全国各地や海外へ出荷します。最新の機器と冷蔵設備が整えられており、品質保持と迅速な流通が可能です。創立60年以上の丸昌も築地市場から豊洲市場に場を移し、ホテル、レストランはもちろん、機内食、大使館、テーマパークなど幅広いお取引先に向けた、魚介類の食材の加工・販売をしています。「豊洲から宮古島はぜんぜん遠くないよ」と話す、代表の小川浩司さん。丸昌の魚介類は日本国内だけではなく、マレーシアなどの東南アジア諸国に向けても出荷しています。魚の質はもちろん、その秘密は品質保持にとことんこだわった高度な加工技術とチームワークに秘密があります。丸昌の心臓部、最新技術と職人技が織りなす魚の加工丸昌の始業は午前1時ごろからスタッフの出勤が始まります。もちろん部署によって異なりますが、加工部門は漁港や市場から新鮮な魚介類が到着する前から仕事開始です。加工場には、検品と記録、品質チェックを終えた鮮魚たちがやってくるため、丸昌の心臓部ともいえる場所です。ここでは約10人ほどのスタッフがチームに分かれ、魚の一次加工を行います。魚はまず特別な機械にかけられ、細かな汚れを取り除きます。この機械は、手作業では対応しきれない繊細な部分まで最新鋭の日本の技術により、目に見えない汚れまで徹底的に取り除くことができます。これにより、衛生的な加工が可能になります。スタッフの皆さんはそれぞれの役割を持って作業を分担します。魚の鱗を取る方、内臓を除去する方、骨を抜いていく方など・・・効率的な作業分担が行われます。魚の腹を開き、内臓を取り除く際は慎重に・・・この工程では、内臓が破裂しないように注意しながら作業を進めます。とはいえ、正確さとスピードが求められ、熟練した職人さんの技は目を見張るほどのスピードでどんどん魚を捌いています。魚の種類にもよりますが1日に数百匹程度すべて手作業で加工します。一方、骨や内臓の除去、切り分けなど、細かな作業を担当する職人さんたちもいらっしゃいます。最新鋭の技術を駆使した機械と、熟練したスタッフによる手作業が融合することで、高品質な一次加工が実現されていると、小川さんは話します。信頼を築く管理部門のチームワーク注文を管理する部門も夜の9時から仕事がスタートします。まずはメール、FAX、LINEで受け付けた注文内容を正確にデータ入力することから始まります。入力されたデータは、納品内容の確認や仕入れ表の作成、トラックのコースの仕分け表などに反映されます。これらの集計作業を朝5時までに完了させることが求められます。管理部門のチームワークと連携は、お客様へのいちばん美味しいお魚の迅速かつ正確な配送が可能となり、信頼関係の構築にも寄与していることは間違いありません。築地から豊洲への移転に伴い、オフィスのスペースはワンフロアで格段に広くなったそうです。これにより、部門間のコミュニケーションがスムーズになり、作業効率が大幅に向上しました。広々とした作業環境は、スタッフの働きやすさにもつながっていると小川さんは言います。創業者の言葉を胸に――、丸昌の一体感と技術力丸昌には創業者でもある、小川さんの父・昌男さんが残したメッセージ でもあり、社訓があります。「商道に徹せよ、自彊不息、自ら努力として励むこと」この言葉には、商売の道を究極まで追求し、常に正直かつ誠実に行動することを意味しています。また、自分自身の努力を絶え間なく続けるこ とを示しています。どんなに成功しても慢心せず、常に自己研鑽を怠らず、向上心を持ち続けることを大切にしています。丸昌の仕事はチームワークによって成り立ちます。小川さんは、「一人一人の技術と努力が結集することで、最高の品質が生まれる」と話します。お父さんから引き継いだ理念に基づき、丸昌の加工場では常に一体感を持って業務に取り組んでいます。従業員の皆さんが協力し合い、効率的で丁寧な作業を行うこと、最新技術の導入だけでなく、チームワークによる手作業の繊細さが品質を支えています。渡邉明シェフともう35年以上の付き合いになるという小川さん。東京には約16万件の飲食店がある中で、自分が携わる料理人の顔が見えることは珍しいと語ります。小川さんは、魚や野菜などの素材にも向き合い、料理を通じて生産者さんと料理人の信頼関係こそがさらに料理の質を高め、互いに成長し続けさせてくれていると続けます。丸昌の文化と小川さんの思い創業から60年以上、大手の取引先が多い中でも、小さいお店も大切にしている丸昌の文化。旬のおすすめ、今一番お客さんに食べて欲しい思いを直接料理人に届けたいという気持ちから、「丸昌のおすすめ」は毎日、小川さん自ら作ります。そして、注文がたとえ、いわし1匹やアサリ100gでも、丁寧に届ける姿勢を貫いている、と言います。常に新しい挑戦を共に、そして思いを協奏することで、今日も明日もこれからも、日本の食文化の発展に貢献しています。The Oliveaでは、沖縄では珍しい海鮮類も東京豊洲からやってきます。 是非その物語も味わってみてください。